22セプトにしてきまして、1996 年から「拾ってきたものをなおす」という活動をしています。2004年ごろから家具や自動車といった異なるもの同士を接合し、新しいかたちに復元する試みも行っています。 最近はリサイクルや金継ぎが注目されるようになり、海外でも私と似たような活動をする人たちもたくさん出てきました。忸怩たる思いです。私が活動を始めた頃は、見向きもされなかったので。木村 作品の素材はどこで拾っているんですか?青野 昔は自動車が落ちていたりしました。大らかな時代ですよね。潰れたホテルに侵入して、落ちているものを拾ったこともあります。 2000年ごろから不法投棄などの問題で取り締まりが厳しくなり、海や防風林で素材を拾うことが多くなりました。3.11 の後は、被災地としての復興作業などで様々な業者が出入りするようになり、さら異なるものを接合し、新しいかたちに復元する木村 私も青野さんも仙台出身で、青野さんは同郷の大先輩に当たります。青野さんを知ったのは大学生のころ。「せんだいメディアテーク」の芸術銀河で作品を鑑賞したのがきっかけでした。仙台には美大がないため、青野さんは宮城教育大学の高山登先生の元で学ばれました。青野さんの作品には、先生の思考方法が受け継がれていると感じています。 青野さんはずっと仙台にお住まいで、3.11の際ももちろん仙台にいらっしゃいました。そこで、彼の作品と震災が図らずしもつながることになりました。青野さんの作品制作は、材料を拾ってきて「なおす」ことから始まります。青野 1991年ごろから循環、修復、再生などをコン現代アーティスト多摩美術大学彫刻学科 准教授⻘野文昭身の回りのものを代用素材にした「なおす・代用合体」や、記憶や歴史を掘り下げる「総合的復元」など、「修復・循環」というコンセプトで、様々な「なおし」を行ってきた青野文昭さん。木村剛士准教授とともに、「つくること」とは異なる創造性を考察していきます。木村剛士開催日:2024年1月14日(日)レクチャーシリーズ 第3回「循環する拾得物」~なおすことでしか見えない眺め
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