29NPO法人くにたち農園の会のWebサイト。コミュニティ農園「くにたちはたけんぼ」や「農体験プログラム」、レンタルスペース「畑の家」、ゲストハウス「ここたまや」などを運営。うこと自体はずっと変わりません。循環型の社会のために、私たちができることって何だろうかと問うていきたいです。小野 何ができるのかというのはやっぱり難しくて、そこは私の中で農業に取り組む大きな理由の一つでもあったと思うんですね。農業の世界に行ってみて、当時はまだ、あまり農業を仕事にするのは農家以外では難しいし、あんまり考えられないという時代でした。しかも、金にならないと言われてたので、非常に思い切った選択だと周りから見られたんです。農業の世界って何となく、朝からサラダを食べてそうな仕事じゃないですか。つまり、罪滅ぼしのように農業を始めれば、自分の心が少し癒えるかもしれないという思いもあったんですよ。 でも、農業がどういう仕事かというと、農業こそが環境収奪なんですよね。人類は1万年ほど前に農業を始めましたが、最初やったのはおそらく焼き畑なんですよ。とりあえず森を焼き払って、そこに何か食べられそうなものの種を蒔く。そして次の山を焼いていくという具合で、要はその自然資源をエネルギーに変えて、食料にしてきたわけです。大量の森林を破壊することでおいしいものを手に入れるというのが、農業の基本的な考え方だと思います。 人類が農業を手にしたことによって、人口を増やを立ち上げました。小野 今日はあえて「南無阿弥陀仏」というキーワードを持ってきました。最近の環境教育やSDGsは「これ言っとけばいいんじゃないの?」という意味で、南無阿弥陀仏と近いと感じています。これはネガティブな意味ではなくて、SDGsを唱えること自体は意味があることだと思ってるところです。大橋 SDGsに目に見えるデザインが施されたのが2015年ごろだと思います。それ以前の5年間と比べて、すごいスピードで世の中に広まっていきました。だから、SDGs自体を広めたのはすごくいいことですが、南無阿弥陀仏は言いえていると思います。小野 SDGsは今、小学校教育でも教えるようになっていて、3人いる娘のうちの2番目の高校受験が終わったばかりなんですが、SDGsって小論文のテーマになりそうじゃないですか。だから聞いてみたんですよ。「SDGsて何ですか?」って聞かれたら、何て答えるのって。すると、解説をつらつらと述べたので、「大事なのはどういうポイントなの?」と聞いたら、要は誰でもできることなんだと。社会全体で取り組むだけではなく、個人が簡単に取り込めるところがSDGsのポイントなんだと。「ゴミを拾う」「プラスチック削減のためにエコバッグを持ち歩く」って言ったんですね。確かにそうですが、それって本当に環境にとって有効なアクションだと思うかまでは、やっぱりいかないわけですよね。 南無阿弥陀仏って、別に悪いことではないし、入口としてはありますが、その先を考えられていますかということですよね。少なくとも、責任ある世代の人たちや、あるいは何かの意思決定をする人に関して言うと、そこはもう一声先に行く必要があるんじゃないかという問題意識があるんですよね。 多摩美術大学として、サーキュラー・オフィスはどういうところを目指してやってらっしゃるんでしょうか?大橋 サーキュラー・オフィスは、美術大学のリソースを使って、循環型社会に対して何ができるのかを問い続けるための場です。私たちはものをつくるじゃないですか。デザインするにしても何にしても、ものをつくって、使って、捨てて生きているってい「南無阿弥陀仏」とSDGs
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