6るエコシステムをデザインする」ところまで行ければと考えています。 例えば、「販売」で言えば、サブスクやリースなど、様々なビジネスのやり方がありますが、そういうことをデザインする場合もありますし、新しい仕様を提示することもあります。今後のサーキュラーにおいてものすごく重要な、回収の仕組みをデザインしていくなど、デザインできるフィールドが多くあると思っています。 すてるデザインプロジェクトは、主に4つのことをやっています。それは、「エデュケーション」「リサーチ」「アウトプット」「コミュニティ」です。 コミュニティで言えば、ナカダイさんという産業廃棄物を処理されている企業と知り合ったことがこの活動につながった大きなきっかけです。そのほか、廃棄物の課題と真摯に向き合っている伊藤忠リーテイルリンクさん、ブックオフコーポレーションさんといった方々と一緒にこの活動をしています。 エデュケーションは、プロダクトが多いですが、ここ3年間くらい、2、3年生の授業の中に、すてるデザインやサーキュラーという考え方を入れ込んでいます。授業には2、30人の学生が出席しているので、毎回2、30のアイデアプロトが生まれています。 大量のアイデアプロトの発表もしています。2021年6月には、ナカダイのモノファクトリーという廃棄資材を販売している場所がありますが、それを学生が購入して、価値を100倍にしてくださいというお題を出して作品を展示しました。 このときはファイン系も含めて6学科が参加しました。工芸の学生が、エアコンに使った金属の資材を組み合わせて、真ん中に穴が開いているので「目玉になるんじゃないか」と発想して、工芸の技術を使って作品を作ったり、CDの銀色の部分を丁寧に剥がして、もともとCDなので回転するという過去のそのイメージを踏襲して時計を作ったりしました。併せて、企業の取り組みも展示しました。 他にも、「価値のカタチ展」という、どこからゴミで、どこまでがゴミではないかという問いを立てた展覧会を実施しました。そこでは、循環を体験的に感じてもらうような展示をしました。 大学の役割は、研究と教育という二大思想と実装という大事な部分がありますが、すてるデザインは特に実装の部分を中心にやっています。中村 青柳先生が先ほどおっしゃった、デザインそのものを作り直す、リデザインするプロジェクトだと感じました。プロジェクトを通じて、永井先生自身としては、どういう気付きがありましたか。永井 確かに、デザインが考えるべき先端は、社会や経済を含めて、全体をどうリデザインするかではあります。しかし、いきなりそれを社会に問いかけても、社会は変わらないと思うんですよね。むしろ、小さな積み重ねや、「社会が変わってきた」という印象から変わったりするものです。こういうトリガーみたいなことを設けて、「自分も少し前に進めるかも」と感じてもらうことも、デザインの重要な役割だと思います。『自分も少し前に進めるかも』と感じてもらうことも、デザインの重要な役割(永井)
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