Airy Me

久野 遥子

作者によるコメント

cuusheさんというアーティストの同名曲からインスパイアを受け制作しました。病棟でナースから注射を受ける日々を送る被験者。投薬が終わった時鼻のスイッチを押された被験者はキメラになってしまう。不定形なキメラに追われるナースは地下室に逃げこむ。人にあらざる姿になろうと強い欲求を持ち続けたとき、どんな光景が生まれるのか、そしてそれは誰が見た世界なのか。揺れ続けるカメラワーク越しに描きました。

担当教員によるコメント

久野遥子のフィールドはアニメーションだけではない。ヘンテコなCMやポスター、少女やヤンキーやカワイイ動物キャラなどのユニークなイラスト、さらには漫画まで描いてしまう才人である。しかしながらそのどれをとってもちょっと奇妙な久野ワールドが広がっている。そんな才気あふれる彼女が一年半かけて作り上げた本作品は、タマグラアニメ史上に残る衝撃だ。その圧倒的な作画力~全篇浮遊するカメラワーク(2Dアニメにおいてカメラが有機的に動くことは背景もすべて作画しなくてはいけないので大変)、構成力(練り込まれたストーリーから抽出した断片イメージが実にイマジネイティブ)などどれをとっても超絶!野に放たれた天才は次にどんな世界を魅せてくれるか今から楽しみである。

准教授・野村 辰寿