Trapezium

穂高 峻

作者によるコメント

Trapezium(台形)というテーマの個展を想定しポスターを8枚制作した。決められた骨組みの構成の中の台形という形の枠で様々なモチーフをミニマルに表現し一連のシリーズを制作した。形を認識するのかモチーフを認識するのか?

担当教員によるコメント

穂高君は3年の初めから、白と黒によるオプティカルパターンの中にモチーフがぼんやりと浮び上がって見える様な、かなりプロっぽい仕事をしていて、富山の国際ポスタートリエンナーレにも立派に入選している。ミニマルな表現は今日のデザインの主流となる考え方だが、ややもするとギスギスとして官能性に欠けたものに陥りやすい。しかし穂高君の仕事は細部の完成度まで一点の狂いもないデリケートさでありながら全体がどっしりと豊かである。ここでは同じ台形をフォーマットとしながら、それぞれ異なるモチーフをたくみに表現していて美しく楽しいシリーズにまとめてくれた。現代的な表現だが、日本古来の「見立て」の伝統が生き生きとしており、すぐれて造形的でありながら、ユーモアを越えた詩的なものさえ感じられる。

教授・佐藤 晃一