GEM MUSEUM GRAPHICS

関根 龍之介

作者によるコメント

山梨にある宝石博物館のイメージポスターを制作しました。鉱物ならではの輝きや色の変化を、線と面の要素のみを使い、グラフィックだけで表現できないかと思い制作しました。あえてグラフィカルに表現することで、光の印象や鉱物らしい特徴的な形態をより明確に伝えることができると考えました。グラフィックだからこそできるものを意識し、色のぶつかり合いや微妙な形の変化をより強調して表現することで、宝石独特の雰囲気を引き出そうと試みました。

担当教員によるコメント

山梨県はむかし水晶を産出したことから、今でも宝飾加工業が盛んであり、このポスターはその博物館を想定して作られている。関根君は以前にも自分の地元の地酒のポスターに取り組んでいて、危惧されている各地の地場産業の問題に強い関心を持っている。しかし彼の立派なところは、それらの社会問題を単に頭で理解して、それを説明的なデザインとして見せるのではないという点にある。つまり鉱物や宝石のカラー写真を使ってデザイン化するのではなく、パソコン上の微細な線の集合とその重なりによって生ずる不思議な視覚効果によって、二次元上に新しい宝石の輝きをもたらしているのだ。このような仕事ぶりこそ、山から鉱脈を発見するのに等しいようなオリジナリティがあるといえよう。

教授・佐藤 晃一