Layla dropcap

岩崎 菜都美

作者によるコメント

ロマネスク時代の装飾文字をベースとして制作したオリジナル書体「Layla」の装飾的な特徴をより強めるために、ドロップキャップ用の大文字を制作した。本文は香水に関する文章となっており、透明なアクリル板を通し、床や壁に落ちる装飾の影によって香水の香りのイメージや空気感を表した。

担当教員によるコメント

多摩美のグラフィックデザイン学科でタイポグラフィを専攻すると、ローマン、アンシアル、ゴシック、イタリックの4書体について、カリグラフィの基礎を学ぶ。岩崎菜都美さんはいちはやくこれらの書法をマスターして自分のものにした。学生生活の集大成として、中世のカロリンジャン・ミニュスキュールをベースにした新しい小文字体を描き、装飾を施した大文字をデザインし、両者をフォント化してテキストに割り付けた後、豪華な植物文様のイニシャルで誌面を埋め尽くした。アルファベット順に香水の銘柄を解説したすべてのページは、鉛筆の下描きによって綿密に計算されている。古風に見えるかもしれないが、すべてが新しい。岩崎さんの控えめながら繊細な感性が光る、力強いオリジナル作品となった。

非常勤講師・山本 政幸