GOZO-ROP

海田 明世

担当教員によるコメント

動物をデフォルメした親しみやすいキャラクター作りを得意としている作者が、卒業制作ではブラックユーモアのあるぬいぐるみを仕上げた。少し太めでゆったりとしたクマは、いつものようにバランスのとれたかわいいキャラクターデザインになっている。その身体のあちこちにファスナーを見つけることができ、開けて手を差し込むとクマの内臓をまさぐることができるというものである。内臓の部所によって触感が異なるマテリアルになっていて、手触りで鑑賞する作品だ。ほのかに体温を感じられるような保温の仕掛けも内蔵している。この作品が成功したのは、内臓をえぐり取るスプラッターな行為を、いかにも見た目のキャッチーなぬいぐるみの外観でやんわりとくるんで、得も言われぬ不思議なミスマッチを演出したことだろう。このクマは展覧会場では女性たちを中心に人気だった。

准教授・森脇 裕之