ニライカナイ

渥見 芽以

担当教員によるコメント

植物がテーマの作品は比較的多い。風景という領域に広げて考えれば、遠くの山や道端の草のように目の付けどころはさらに増える。しかし渥見の絵画は風景というよりも、あきらかに植物がテーマである。その理由は、渥見が植物と適切な距離を保って対話しているように見えるからだ。渥見はこう述べている。「草木や花のように生きたいと思うことがある。植物のように強く優しく、伸びやかに生きたいと思うことがある」。渥見は、伸びやかな植物に理想を重ねながら自分に不足しているものを補おうとしている。植物に対する尊敬と愛情は淡くて美しい色彩を生みだした。明らかに実際の植物よりも表情豊かな色彩を見ていると、植物との対話によって至福の幸福感に包まれていたことは私にも想像できる。

教授・室越 健美