想像する肌

小嶋 紗代子

作者によるコメント

もし現在の再生医療技術の発達によって「肌」が素材として培養され、商品となり、それを当たり前のように使用する未来がきたとしたら、触れるという行為や肌というものへの意識はどう変わるのでしょうか? 肌素材の商品や、培養図、製造工場の具体的なイメージを突きつけることで、これからの「触れる」行為に対する価値観を問い掛けます。

担当教員によるコメント

「触感」は、触覚だけでなく視覚や聴覚、またそれにまつわる記憶や体験をも含めて生まれる感覚である。小嶋は、触覚を感知する「皮膚」に着目し、皮膚と人との間におきる視覚的な触感覚を利用した作品をつくろうと考えた。医学的な補綴物(エピテーゼ)の技法を学び、シリコンの扱いにも慣れ、リアルな皮膚をつくれるようにはなったが、どうしても触感を生むセット(五感以外の要素やその環境)がつくれない。そこで彼女は、細胞から培養して皮膚のプロダクトをつくる物語(工程写真と製造フロー)を創作するに至る。それがどういう効果を生んだのかはわからない。しかし確実に、未知のデザイン領域にタッチできたのではないか。そのことを高く評価したい。

教授・永原 康史