集合する画面の魅力についての実験

馬渕 朝子

作者によるコメント

昔から興味があり、自主制作で描いていたのが「集合する画面」でした。なぜこのような画面に魅力を感じるのか、考察するために制作を始めました。作品のサイズは1030mm×5000mmです。制作を通して自分の考える集合する画面の魅力は、小さなキャラクターと小さなストーリーの密集だと感じました。群像を描くこと、群像の中から物事を見つけ出す視覚探索に魅力を感じるため、私は集合する画面に惹かれるのだと考えました。

担当教員によるコメント

集合する絵というのだろうか、キャラクターがたくさん集まっている絵が好きだと馬渕は言う。ゲーム絵本『ウォーリーを探せ』は視覚探索と呼ばれる認知的課題のひとつだが、それを模倣するわけでもなく、ただそういう絵を描いてきたと言うのだ。それなら、なぜ集合画が好きなのか、それを考えるためにとりあえず描いてみたらどうか。その提案のまま進んでいったのがこの卒業研究制作である。こつこつ描き続けて、夏には展覧会もひらいた。人の意見を聞き、絵を検証し、楽しみつつも身を粉にして描いた。時間が来たので描くのを終えたが、これが仕上がりというわけではないだろう。永遠に描き続けることができる絵。それがこの作品の凄味だと思う。

教授・永原 康史