人と社会をつなぐ物語, ―フランシス・アリスのアクションとプロジェクト―

島田 浩子

作者によるコメント

メキシコシティを拠点に制作活動を行うフランシス・アリスは、都市空間を舞台に日常の事象を題材にして、また世界各地を訪れ、国境や移民、社会的問題を取り上げ、制作をおこなってきた。詩的な表現によって、アリスは特定の社会問題を誰もが共有出来るものへと変えている。本稿では、アリスの主要な表現方法であるアクション、またプロジェクト型の作品を中心に取り上げ、アリスがどのように社会と関わっているのか考察する。

担当教員によるコメント

本論はベルギー出身でメキシコへ移住しそこを拠点に、世界の政治社会的な地理的ポイントでプロジェクトを展開するフランシス・アリスの作品についての論考である。政治的葛藤、経済や国境問題などグローバルな問題を寓話的な、詩的な表現によって共有する可能性を模索するアリスの方法は、ヨーロッパの知的詩学が、ラテンの政治とアートの関係と融合し、化学反応をおこさせるものといえる。島田はこの点を論文の3つの構成によって順をおって検証した。グローバル化が進み、異文化や異文化を生きる人々と接触する機会が増加する今、社会とどのようにアートは向き合うか、というテーマに対して作家のコンセプトを明示しながらストレートに応えようとした論文である。

教授・長谷川 祐子

  • 作品名
    人と社会をつなぐ物語, ―フランシス・アリスのアクションとプロジェクト―
  • 作家名
    島田 浩子
  • 学科・専攻・コース