静かな向こう側
奥村 初穂
作者によるコメント
「日本人の空間に対する繊細な意識」。言葉で言い表せないような、移ろいゆく微かな光や、向こう側の淡い気配。そういった不確かで儚いものを感じ取り、慈しむという日本人の繊細な感受性は世界に誇るべきものだと思います。この繊細な感受性を、「屏風」という形で表現しました。
担当教員によるコメント
空間デザインの原初的な要素である“仕切り”を光と影をテーマにデザインしている。こちらとあちらを仕切り、仕舞うことができる屏風。木フレーム、連結する丁番、外見上は和紙の単一素材で仕上げているが、内部にもう一層“影絵”を内包している。さらにフレーム断面を台形にすることで、細い桟のおぼろげな影が、全体の繊細な印象に寄与している。伝統的な屏風には、絵画や装飾が施され、その多くは表に施されているが、この屏風は光と影によって表と裏が生まれ、向こう側の気配を感じ、ある種のイメージを想起させる…。それがタイトルの「静かな向こう側」となっている。日本人が大切にしてきた空間感、美意識を表現している。伝統を尊重し、新たな提案をしている、そのことに好感がもてる。
准教授・米谷 ひろし
- 作品名静かな向こう側
- 作家名奥村 初穂
- 作品情報技法・素材:木、和紙、ケント紙
寸法:H1800×W4000×D600mm - 学科・専攻・コース
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