はっけ

大橋 美弘

作者によるコメント

ものごとを作る人が同じ立場の仲間と感じたことや考えたことを対話の中で交換すると、自分にはない発見を手に入れることができる。大学生活の中で対話から生まれた発見が自分に新たに考えるきっかけとなり、より質の高い成果を生み出すことに気付いた。この気付きから制作の対話を「行為」「思考」「想起」「発見」に分類。創作の現場で制作者が他者と対話の中で感じたこと等を活発に交換するための研究とツールデザインを行った。

担当教員によるコメント

美術学校の学び手たちは作品をつくることで創作する力を身につけている。教室ではいつも制作の行為とその結果をお互いに見ている。そういう場所で彼らがそれぞれの制作について語り対話することはとても重要だ。その中に自身の創作行為の意味や価値を新たに発見するからだ。発見は次なる展開を駆動する。「はっけ」は、学び手たちのそういう気づきと発見を支援するツールだ。 大橋デザインの面白さは3つある。ひとつは、語りと対話を「書いてみたくなる」「受け渡しできる」実体の「札」にしたこと。その札を「行ったこと」「考えたこと」、語り対話しながら「思い出すこと」「発見したこと」の4種類に分けたこと。そしてそれらを連ね配置構成したくなるように札を造形したことである。

教授・須永 剛司