rhythmos

上野 陸

作者によるコメント

人は他と干渉した際、自己を俯瞰視し己の存在を認識、そこに存在のかたちが生じる。存在にはかたち、奥行きがあり、視点によって見え方の変化する多面的で立体的なものであると考え、目の前のスクリーンにプロジェクションされる自己を俯瞰視してつくられる存在の一瞬の「かたち」と、その連続の蓄積から現れる存在の全体像や凹凸等、立体感の表現を試みた。

担当教員によるコメント

作者の上野陸は、作品コンセプトに自分の存在を感じた瞬間を以下のように記している。「駅のホームで電車を待つ際、自分の後ろにいつの間にか列ができていた瞬間。夜空の星を見た時、銀河や太陽系、地球の位置から、その中に自分がいることを感じた瞬間」。上野は小さな頃からずっと自己の存在について深く考えてきたのだろう。自分とは何か?自分はなぜここにいるのか?その素朴で深遠な問いを彼は卒業研究制作のテーマとした。その問いを言葉で投げかけるのではなく、彼はセンサーやプロジェクションなど高い技術を効果的に使って体験できるカタチの作品にした。本人が一番伝えたかった人の存在に対するシンプルな問い。この作品を体験した者たちは自然とその問いに出会うことになった。

教授・宮崎 光弘