CMYK+W

小沼 あみ

担当教員によるコメント

パネルに等間隔に打ちつけられた釘の間を、五色の糸が何重にも張りめぐらされている。少し離れて見ると、糸の重なりで色彩の混合が生まれて人の姿が浮かびあがっている。パネルの釘にからみつく色糸の濃淡で図像を表す手法は、オフセット印刷からヒントを得たという。作者は在学中にさまざまな表現技法に関心を寄せ、その原理を理解することに熱心だった。その集大成として卒業制作では、糸を重ねる図像イメージの手法を発明することができた。それで表現したのは二人の両親の姿。手法にとらわれるだけでなく、そこに彼女の優しさを見ることのできる作品になった。

准教授・森脇 裕之