三鑰 彩音

担当教員によるコメント

独特な透明な色彩感覚。まるで中世ヨーロッパのステンドグラスの様な抽象表現や、哀愁に満ちた人物表現等、独特な魅力に溢れた世界が巨大な画面いっぱいに展開していて私たちを圧倒する。「私たちは服や化粧で着飾り、言葉や表情を操り、知らぬ間に自分を隠して生きています。しかしそこから漏れる人間性に惹かれます。」と、語っている。それ故か、バックに登場する図様は意図的に薔薇の花であったり、宝飾品である。それらを一つ一つリズミカルに描き切り、まるで中世のお姫様のような巨大な女性の顔をいくつも配置している。困難極まりない発想であるが、実力によって、作者はそれらを何とかモノにしてしまった。不思議な香りを醸し出す、見た事も無いような労作である。

教授・岡村 桂三郎