彼らは彼処で遊びだす, しだれ木の肖像

畑山 太志

担当教員によるコメント

自然界の全てのモノには命が宿る。そう考える畑山太志の描く木、草、岩、などはなぜかどれも人間のように見え、精霊が宿っているようにも感じられる。実際に見た景色に作者の思いを加えて表現された風景は、カメラでありのままに写し取る風景とは異なり、そこには何かが存在する。つまり彼は外形ではなく、その奥に潜む何か、周囲に漂う何かを捕らえ、言語や、表層を描くことでは簡単に表せない世界の表出を試みている。細かいタッチの積み重ねが画面全体に広がり、柔らかな色調と相まって風景全体が活気づき、光を放ち、存在感を増す。かつて彼は禁欲的に、ホワイトのみで徹底的に描き込んだ絵を描いて高い評価を受けた。しかし今回、彼の絵は色彩を獲得し、視覚的にも内容的にもこのような豊かな作品に変身を遂げた。

教授・野田 裕示

  • 作品名
    彼らは彼処で遊びだす, しだれ木の肖像
  • 作家名
    畑山 太志
  • 作品情報
    『彼らは彼処で遊びだす』
    技法・素材:アクリル、綿布
    寸法:H1940×W3240mm

    『しだれ木の肖像』
    技法・素材:アクリル、綿布
    寸法:H1620×W1303mm
  • 学科・専攻・コース