カーテン

松田 ひかる

担当教員によるコメント

繊細な画面で、色彩感覚が敏感に反応している。特に「カーテン」と題された作品は、単にカーテンの材質や布のディテールを追いかけてはいない。透ける光や揺らぎのような存在を発見することで、室内装飾のカーテンを、「自分とカーテン」の関係に置き換えている。カーテンの観察から、その存在と自分との関わり方を考え、そしてその根拠にまで到達する。その価値判断の基準となったのが、松田の色彩感覚だったのではないか。だが画面全体がグレートーンで覆われ、シックにまとまりすぎている嫌いがある。たぶん松田が慎重すぎるからだろう。また色彩自体が感覚的なので、抽象的イメージよりも、カーテンのように、実在する物をモティーフにした方が、曖昧にならず画面の強度が保てると思う。

教授・室越 健美