さらばロメロ

松永 茜

担当教員によるコメント

松永さんは人や空想の動物や機械のような形を組み合わせて絵を描くことが多い。卒業制作の「さらばロメロ」は、マスキングテープを使って明快な色面をシンプルな手順で塗り重ねる方法で描いている。行ったり来たりしないで、一方通行のプロセスで描く。塗りの跡やマスキングテープのズレ、汚れなどは気にしない。むしろあえてあからさまに残す。マスキングテープをはがした時の絵具の断層は、そのままぶっきらぼうに残っている。やりっぱなしで潔い。奇妙な形に平面化して描かれた人の背中から、唐突に立体感のある角が登場する。手順や構成は一見単純だけれど、意表をつく組み合わせとバランスによって、意外性に満ちた魅力的な絵になったと思う。

講師・日野 之彦