わからないのこと, 庭
望月 美葵
担当教員によるコメント
望月さんは人間や風景を水の流れのような形に歪ませて、絵具を流動的な筆触でドロドロに塗り付けて絵を描く。アトリエで無我夢中に絵具を塗りたくっていた手つきは忘れられない。神奈川県の海のすぐそばで生まれ育った望月さんにとって、海の色や波のリズムは身近なものだったと思う。望月さんは東日本大震災以降、海や震災に対して複雑な感情をいだくようになったと言う。卒業制作はその個人的な感情をモチベーションにして制作した。「わからないのこと」では少女に自分を重ね、水流のようなタッチで描いた。「庭」では津波を描いた。瓦礫などの説明描写は最小限におさえている。震災に対する個人的で整理のつかない感情を、自分の身体を駆使して、形態の歪ませ方や筆の動かし方によって表そうとする意志を感じた。
講師・日野 之彦
- 作品名わからないのこと, 庭
- 作家名望月 美葵
- 作品情報『わからないのこと』
技法・素材:キャンバス、油彩
寸法:H1620×W1303mm
『庭』
技法・素材:キャンバス、油彩
寸法:H1620×W1940mm - 学科・専攻・コース
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