A. たゆたう, B. あってないようなものだから

吉田 実穂

担当教員によるコメント

幼少の頃から皮膚炎を患い、常に荒れた手を見つめてきたという。それは避けられない絶対的な存在であり、生活に密着した身近な存在でもあった。自身の手を見続けることから生れた吉田さんの作品は真に美しく、時に広大な風景のようであり、見る者はこの拡がりに惹きこまれた。「あってないようなものだから」では、手を日々見つめ、一枚の紙の上部には肉体的な変化をドローイングで描きとり、下部には精神的な変化を日記として言葉で書き留め、それらを一ヵ月ごとまとめ、自身で制作した台の上に置いた。この作品では紙の質や台の構造までもが表現の一部として機能し、作品が置かれた場、周囲と関わることで一層深く、凜と、存在感をもって立ち上がってきた。

教授・日高 理恵子

  • 作品名
    A. たゆたう, B. あってないようなものだから
  • 作家名
    吉田 実穂
  • 作品情報
    技法・素材:紙に鉛筆
    寸法:H1303×W1620mm
    技法・素材:紙に鉛筆、柱脚
    寸法:サイズ可変
  • 学科・専攻・コース