守人, 日本

小塚 ゆり子

担当教員によるコメント

小塚さんは4年間一貫して、対象を見て描写することに執着し続けてきた。卒業制作では風景を描くために毎日現場までキャンバスをかついで行き、一日中外で描き続けた。朝から日が暮れるまで描いていたため、光の方向は定まらない。よって結果的に描かれた風景からは影がほぼなくなっている。わずかに描かれてはいるが、部分的で方向は定まっていない。正面から光が当たっている状態とは違う。曇った日の均質な光の表情とも違う。小塚さんの描いた影のない風景は、明るさと暗さが同居したような不思議な非現実感がある。影から目をそらし、光が当たっているところだけを見続けて描いた行為に、何か小塚さんがかかえている切実な願望のようなものを感じた。

講師・日野 之彦

  • 作品名
    守人, 日本
  • 作家名
    小塚 ゆり子
  • 作品情報
    『守人』
    技法・素材:キャンバス、油彩
    寸法:H1620×W960mm

    『日本』
    技法・素材:キャンバス、油彩
    寸法:H727×W910mm
  • 学科・専攻・コース