愛おしい人

渕田 真里名

担当教員によるコメント

作者は3学年専門課程より具象人体彫刻にテーマを求め創作に挑戦し、実践してきた。「愛おしい人」と題された頭を項垂れて、痩せ細ったこの像は一見すると重苦しい印象を与えるかもしれない。しかし対峙してよく観るとそれは瑞々しい生命感溢れる彫刻として存在しているのである。そこには自身のテーマに対する強い精神性と共に、彫刻として重要な構築性が見てとれる。研ぎ澄まされた量塊の表現は手技による高い造形力があってこそのものであろう。又、ブロンズという素材選択が像のフォルムをよりしっかりと実在させている。作者の非凡な才能を見てとれる作品となっている。

教授・安倍 千隆