stranger

関谷 輝

担当教員によるコメント

具象彫刻はどのような人物を表現するかに作者の興味が表れる。作者によればこの作品は小心者の強盗が何かに驚いて一瞬こわばった姿なのだそうである。日常的な対象ではなく、目出し帽をかぶった小心者の強盗を表現するというところに、現代社会の問題点をユーモラスかつシニカルに表現したいという作者の意図が読み取れる。技法的には一木造により彫りだし、背中から内刳をほどこすことにより干割れを防ぎ、重さを軽減させている。時間をかけてしっかりと彫り進めてあり、表現対象の特異性を十分に表した印象に残る作品となっている。

教授・川越 悟