「自撮り」コミュニケーションの現在

今井 楓

作者によるコメント

スマートフォンの普及以降、瞬く間に発達した「自分撮り(自撮り)」文化は、「真を写す」本来の写真とはかけ離れた文脈で発展していった。その上で「セルフポートレイト」「女の子写真」などと比較することで写真としての側面を見、若い女性たちによって育まれた少女文化としての顔、そして現在SNSなどで使われうるコミュニケーション手段としての側面から「自撮り」を考察する。

担当教員によるコメント

今井楓さんの「『自撮り』コミュニケーションの現在」は、SNS時代における「自撮り」カルチャーを、現代日本の女の子文化論を軸に多角的に論じたもので、今の時代を生きる学生にしか書けないユニークで優れた論考です。「自撮り」は英語でSelfieと言い2013年オックスフォード辞典の「今年の言葉」にも選ばれるほど世界的現象になっています。今井さんはクールかつシニカルなまなざしで、写真史におけるセルフポートレイトとの差異、プリクラやガーリーフォトとの比較(および差異)などを検討し、SNSという今日的環境、「自撮り」をする人の心理などまで論じています。「ギャル文化」と「不思議ちゃん文化」の分断・差異化と「自撮り」による両者の包括を論じた部分など秀逸です。

教授・西嶋 憲生