江藤 真央

担当教員によるコメント

土を焼く仕事、高温化学反応には十数億年の時間が圧縮内包されており、自然物と人間が作り出した物の間、換言すると現象と人為の「あわい」と呼びたくなる形象を生み出す。彼女もこのことを経験則として知っていたはずである。彼女は長い年月を掛けて生成された自然物、特に人知れず生成された痕跡に心を奪われと語る。土を焼く仕事が彼女の興味を誘ったかも知れない。いずれにしろ彼女は自然現象が生み出す形象と、高温化学反応が見せる形状に同質を感じ取ったに違いない。しかしながら、もとより人が自然物を生み出せる訳はなく、彼女の体や手の素材への幾度とない働き掛けが、焼成による高温反応を経て自然物を感じる形態となって現れている。その優れた虚構性が観る人を自身の内なる自然へ誘っている。

教授・井上 雅之

  • 作品名
  • 作家名
    江藤 真央
  • 作品情報
    素材:陶
    サイズ:右上=H70xW710xD760mm/左上=H10xW800xD800mm/手前=H90xW780xD760mm
  • 学科・専攻・コース