和食の目線

菊地 真理子

作者によるコメント

現代は和食を頂く環境に本当に適しているだろうか。料理の美しさが食事環境によって損なわれていないだろうか。和食を頂く姿勢や環境を見直すべきだと考える。

担当教員によるコメント

世界遺産にも指定された和食をその食べる姿勢から見直したデザインの提案である。食器を手に持って食べるという所作は日本独特で、座ったときの目の高さと食事を置く机面との関係に由来していると考えられる。またこの高さは食器の中を見下ろすことができ、和食の盛りつけはこの視界と姿勢を意識してきたという前提に立ってデザインしている。伝統的な膳のスタイルをとりながら正座に比べると楽な姿勢をとれるような座面をデザインし、和食特有の作法によって目で楽しみながら食すという、膳の現代版とも言える家具を製作している。和食に関する姿勢と器の歴史を調査した上で、受け継ぐものと新しく提案するものを慎重に分析した結果としてのデザインであることが評価できる。

教授・岸本 章