建築設計×色彩設計

小林 千晶

作者によるコメント

設計を学び、色彩学を勉強して感じたのは、設計で色を扱うことに消極的だということ。建築が立つ場所に色彩がないことはない。周辺環境を知り、ロジカルな面からその場における色彩を導き出す。

担当教員によるコメント

作者は環境の色彩について強い関心があり、同じ形態でも色彩によって大きく環境の価値が変わることを通して、環境デザインという領域が今後取り組むべき方向を提案している。そのケーススタディとして相模湖畔の船着場の色彩を建築物と共にデザインしている。植物や水面など周辺の自然環境の色彩は季節により、天候により様々な様相を見せる。しかしそれでもなお自然界の色彩は一定の範囲にあるという前提から、そこに隣接して置かれる人工物の色彩を決定する根拠について考えている。未だに「自然環境に合わせる=緑」という安易な色彩計画が多い中、これからの環境デザインとして考えるべき新しい方向を示唆しているところが高く評価でき、今後の研究に期待できる内容である。

教授・岸本 章