かみひとへ

陶山 岳志

作者によるコメント

紙らしい触感は二次元性からくるもの。それを活かすことで得られる紙の触感的可能性。一枚の紙が身体からはなれていく些細な感覚の拡散。密度変化による触感の違いを認識させる。

担当教員によるコメント

紙に魅せられた作者は1年間を通して、切って折って曲げて千切って揉んで広げて組み立てて変形させながら、徹底的に紙と戯れてきた。凄まじい質と量の思考・試行を経て、テーマを紙の触感-tactile-に絞り込んで生まれた作品である。本をめくる愉悦、あるいは札束を数える快楽(これは別の要素が強いかもしれないけれど)・・・紙の断面(端部)と指先の繊細で微妙な関係に、新たな表現の可能性を見出し空間化した。視覚を中心に空間を捉える作品が多い中、触感を空間化するという作者の試みは、静かな佇まいとは裏腹に挑戦的である。

准教授・橋本 潤