港の大屋根

山口 雅子

作者によるコメント

千葉県の南端に位置する千倉町は大きな港がある。過疎化の進むこの町で産業の観光化に伴い、大きな港がもう一度町の中心となっていくための提案。

担当教員によるコメント

千葉県南房総市の太平洋側にある千倉漁港での計画である。漁獲高は減少しているが、定期的に朝市を開催するなど、活性化へ向けた動きも見られる。ここに一般向けの市場と飲食施設を設けることで漁港の再生を目標とする提案である。木造の構造体は直線材だけで構成されているが、屋根面全体としては流れるような動きをもった姿になっている。L型に配置された2つの上屋のひとつは現在の魚市場の機能をおさめる吹きさらしの大屋根、もうひとつはレストランや海産物直売所など、観光客や地元住民など一般向けの施設をおさめる大屋根である。周辺環境や漁港としての機能、敷地外の人の動き、利用者の視線など、多角的な分析をした上で美しい造形に至っていることが評価できる。

教授・岸本 章