CHIKUHO TANTO PROJECT

前野 慧

作者によるコメント

地方都市における商店街のあり方について考える。福岡県田川市を例に自然回帰をテーマに商店街が豊かになるようなコミュニティースペースを提案する。

担当教員によるコメント

産業構造、社会の変化に伴い、街は変容し、集う人もコミュニティの質も様変わりする。かつての炭鉱の街は、日本社会のかかえる課題が濃縮して存在している。この作品は、長く放置されてきた状況を打破するために、デザインでできる事は何かについて真正面から物申そうと挑んだ意欲作である。近い将来、人間と自然が共生できるように、スマート化すること、自然本来に還すこと、つくらないことが、時代の要請となるかもしれない。前野君は、年間を通じて、土地の記憶、重層した時間を読み解きながら、丁寧に課題を分析していた。解決にいたる道筋を考え、長い時間を要するであろう一連の具体的な作業プロセスを導き出し、且つ、豊かな表現力によって、わかりやすく伝える努力を惜しまなかった。ランドスケープから建築、インテリアディテールに至るまで、一貫したデザインポリシーを感じさせ、環境デザイン学科らしい卒業制作となった。

准教授・湯澤 幸子