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岡崎 恵理

作者によるコメント

2匹の生き物がゆっくりと1日を数え終わる頃、子供たちは食卓につく。大人たちは倉庫の番号を確認し、一心にストックを増やす。それを食べ続ける日々に、子供たちは少しずつ味気なさを感じはじめる。そして、今日もポケットから同じ餌を差し出す。過ぎていく日々、消費される番号。知らないところで動いている、日々のしくみ。

担当教員によるコメント

この世界の構造を独自の視点で捉えた作品のように思えた。昼と夜を司る巨大な生き物は時を刻む。4人の家政婦は食べ物を調理しストックする。子どもたちはそれを食し、ヤギにはエサを与える。地下ではなにものかが地上に向けて木を生やす…。淡々と繰り返されていく日々の行程。タイトルが示す通り作者の「食べ物を与える(与えられる)」ことの意義と価値についての考察を含んだ作品であるが、そのメッセージが説明されているわけではない。しかし白と黒を基調とした柔らかなトーンで描かれた世界は優しい緊張感にあふれ目が離せない。作者自身の意識や思考を全く新しい観点で具現化・象徴化した画期的な作品だ。作品に内在する作者の根源的ななにかが観客の心を捉えて離さないのである。

教授・野村 辰寿