深田 舞衣子

作者によるコメント

終わらない夜の森がありました。その森の奥のほう、ひっそりとした洞窟に かいじゅうが住んでいました。触れるものを腐らせてしまうかいじゅうは、森のみんなの嫌われものでした。ある日、かいじゅうはふしぎな白いこどもと出会います。ずっとひとりぼっちだったかいじゅうに、はじめて友達ができたのでした。大きな森の中で生きる、けなげで小さないきものたちのアニメーションです。

担当教員によるコメント

暗い夜の森にふたりの白いキャラクターが浮かび上がる。ひとりは触ったものを腐らせてしまうことで森の獣たちから虐げられている「かいじゅう」。もうひとりは花から生まれて何度でも蘇生する「こども」。出会ったふたりは、初めての友だちとなる。しかしかいじゅうがこどもにさわると、こどもは瞬時に腐ってしまう。(その場ですぐに花が咲いて子供はまた生まれるのだが)大切なものに触れられないジレンマと距離感、そのいたいけさがなんともかわいい。キャラクターのかわいさや愛しさは外見だけのものではない。その設定や性格がキャラクターを魅力的に見せる。ユニークなキャラクターを描いてきた作者が本作で取り組んだのは、失いたくない存在、命の大切さを巡る無垢なる寓話だ。

教授・野村 辰寿