A Paper Poetics

西岡 洋丞

作者によるコメント

ときに多くの言葉よりも、沈黙や間が途方もない情報を伝えることがある。ひととひと、ことばとことば、ものともの。あらゆるいきさつにおいて“余白”にこそ重要な意味はひそんでいるに違いない。紙面上の言葉と図版、その意味、そして余白...それぞれの関係と空間の操作によって紙の余白が語りはじめる瞬間があるはずだ。グラフィックデザインにおける言葉と沈黙、余白の深奥を探る。

担当教員によるコメント

時代や流行だけを追い求める興味よりも、人々が長い時間をかけて築きあげた感性の歴史を掘り下げることに西岡洋丞は多くの時間を費やしてきた。彼は思考の人なのだ。自身のデザイン創造の核を“言葉である”と言い切る姿にもその独自性を感じる。卒業制作は三部からなるブックデザインである。現代詩とも言える内面から湧き出る言葉の数々を精緻なタイポグラフィーで綴り、モノとして魅力的な写真群と交差させる。紙面の余白までもが沈黙の術として見る側を包み込む斬新なコミュニケーションを生み出している。本当に見事だ。また、現代のグラフィックデザイン表現に蔓延する淡白感や定着の緩さに対するアンチテーゼが、この作品には多分に込められていることも見逃してはならない。西岡洋丞はクリエーションに対する複眼を持った逸材だと思う。

教授・澤田 泰廣

  • 作品名
    A Paper Poetics
  • 作家名
    西岡 洋丞
  • 作品情報
    ジェネラルデザイン
    技法・素材:本=紙、Illustrator、Photoshop、デジタル出力
    サイズ:H664×W491mm (2点)/H634×W634mm (34点)/H635×W635mm (56点)
  • 学科・専攻・コース