イッツ・マイ・ウォー

椿 美沙

作者によるコメント

戦争と人間の本質に向き合ったグラフィック・エンターテイメント。戦争に支配されていく日常を背景に、人間の本質にあるむごさが表出していくまでを描きました。ページをめくるたびに大きく表情を変えるグラフィックを重ね、一冊の本としての佇まいにすることで、複雑で繊細な感情も表現しています。史実となりつつある「戦争」をまだ記憶であるうちに見つめ直し、考えるきっかけにしてほしいです。

担当教員によるコメント

映像をグラフィックで表し、音を文字で表わすことはできないか。いわば、映像のグラフィック化です。椿さんはこの挑戦を、グラフィック・エンターテイメントと呼んでいます。頁を開くと視角いっぱいに広がり、見る人にとって、対象物というより自分事になるよう考えられたサイズです。スケールメリットを生かした見事な戦略です。戦争という人間の本質に迫る問題に対して、椿さんは集団心理の愚かさを告発しつつ、巻き込まれていく人間の弱さにも触れています。それらを表現した各頁のビジュアルとタイポグラフィの融合は完成の域に達しています。映画をつくるには膨大なエネルギーが必要ですが、椿さんも休むことなく作り続け、毎週進捗状況を見せてくれた熱心さに驚いたことを覚えています。作品から伝わる迫力は、椿さんの熱意の現れです。

教授・山形 季央

  • 作品名
    イッツ・マイ・ウォー
  • 作家名
    椿 美沙
  • 作品情報
    ブックデザイン
    技法・素材:本=ペン、アクリル絵具、水彩、カラースプレー、デジタル出力、Photoshop、Illustrator、InDesign
    サイズ:H515×W364×D27mm(100ページ)
  • 学科・専攻・コース