無我夢中

湯原 理紗

担当教員によるコメント

彼女の作品にはこの処、ペンギンがしばしば登場する。卒業制作にも、飛べない鳥に理想を託した。黄金律を使用した構図には彼女の理論と実践が垣間見えるが、その視点は自分自身の現実と不安を見つめるものだろうか。「無我夢中」というタイトルにあるように、ペンギン達は一心に地上(彼女の自宅付近なのだろう)を離れて螺旋を描いて空へと飛翔する。地上を俯瞰した視線は、飛びゆくペンギン達に向けられながらも、本人の視線そのものなのだろう。彼女もペンギン達同様、好奇心と勇気をもって新しい世界を求め、果敢に挑戦し続けている。

教授・米谷 清和