黒飴

桜田 純菜

担当教員によるコメント

桜田は卒業制作に向けて、ダンボールで囲った遮光性の高い小屋を作った。桜田はそこに籠ってアニメ作りに没頭したのである。それまでは普通に絵を描いていた。旅行で取材した風景は技術力に支えられた完成度の高い表現として描かれていたが、本人は納得していなかったようだ。絵は本当に難しい。様々な可能性を取捨選択し統合する作業だからだ。絵画がつかみどころのないものだとすれば、桜田が求めていたものは逆に、実感のあるリアリティーだったのかもしれない。自分の記憶を頼りに、子供の領域の不安定さをアニメにした。遮光された小屋は絵画の難題を確実に遮断するものとして機能した。ストーリー、背景、キャラクターは、皮肉にも絵画的なエキスに満ちていて魅力的である。

教授・室越 健美