知新有心, 地を汲む

島野 由衣

担当教員によるコメント

島野の卒業制作は、ウサギ、龍、樹木をモチーフとした3点だ。これらのモチーフは古くから日本の絵画に登場してきたもので、技法も箔や胡粉、岩絵の具を使っていることから日本古来のものと言える。しかし伝統的なスタイルを感じさせながらも、島野の作品は古典からの引用や日本的なるものを前面に打ち出すような臭みを感じない。なぜならばこれは試行錯誤を重ねた上でたどり着いた、自分の感性に適した画材でありモチーフだからだ。大きくデフォルメされた動物たちは、造形的に美しい形を求めた結果であると同時に、明らかに漫画やアニメを見て育った現代の若者の感性を体現している。そういった意味で島野の作品は、日本の過去と現代を繋ぐものだと言えよう。

教授・菊地 武彦

  • 作品名
    知新有心, 地を汲む
  • 作家名
    島野 由衣
  • 作品情報
    『知新有心』
    素材:岩絵の具、水干、胡粉、パネル
    サイズ:H1920×W1920mm×2

    『地を汲む』
    素材:岩絵の具、水干、胡粉、パネル
    サイズ:H1600×W1600mm
  • 学科・専攻・コース