Candle

高杉 英男

担当教員によるコメント

3年で転科してきた君は、この卒業制作で実在の江戸後期の画家と自分とを重ねあわせた。その画家は当時洋風画を描き、銅版画も制作した。彼もまた確信的なはぐれものであった。彼の絵画をモチーフにチープな材料でタペストリーとして追制作し、また些細な日常の一場面を、伝統的な素材から段ボールや蝋を選択することによって、よりパンクで空かした彫刻に仕立て上げた。それらは混在し見るものを挑発する。しかしそれらは決して攻撃的でなく、ある種の軽みをもって迎えてくれるのだ。これこそが君の作品の最大の魅力だ。いくらパンクに振る舞おうとも、バトルスーツで身を固めようとも、根っこには嘘をつけずに、作ることを唯一の証しとして信じる君がいる。これからも胸を張ってはぐれ続けよ。

教授・小泉 俊己