X-Human Noise

安川 源

担当教員によるコメント

安川は自らがつくり上げたシステム、音や数字・文字で構築された立体物が放つ指示に安川自身が反応し自らの声を発して身体を動かしていくパフォーマンスを行った。安川は自身の作品おける構造を「人間に作られ、人間を支配する広義のシステムに従う人間という図式」と語っている。わたしは安川の作品を見て、三島由紀夫の金閣寺に書かれていた主人公の「世界を変貌させるのは認識ではなく行為だ」という言葉を思い出した。わたしには安川の声や動きが、自ら作り上げたシステムに従っている状況おいても、生き生きとした生の喜びとして感じとれた。安川の身体の動きは無駄事を怖れぬ動きだったと思う。仮に安川がシステムの認識に留まり、独り言のようにどこにも飛べない動きであったなら、人間の生への可能性を閉ざした作品になっていたかもしれない。

准教授・栗原 一成