おはようのハグがしたい。
伊藤 栞
担当教員によるコメント
これは自然木と蝋でつくられた大胆で繊細なオブジェである。全体を眺めていると、林の中で倒れ朽ちた木から新たな別の命が生まれてきた光景に見える。近づくとそれは、幹から枝の先まで蜉蝣が群れてとまっている景色のようだ。材料の蝋も造形された蜉蝣の羽も、イメージはその半透明の質感と相まって儚さ脆さを感じさせ、「生命」というテーマを見る者に問いかけてくる。それが、伊藤栞がこの作品に託した主張である。彼女は主に立体作品をつくっていたが、講評会のたびにコンセプトも素材も異なったものを出してきて、我々を戸惑わせた。それは自分の行き先を探る試行錯誤だったのか、単に迷っていただけなのか判断ができなかったが、この卒業制作が現れたとき、かつての作品の片鱗が窺え、彼女の意図は前者であった事が証明された。
教授・野田 裕示
- 作品名おはようのハグがしたい。
- 作家名伊藤 栞
- 作品情報素材:蝋燭、枝
サイズ:H1000×W4900×D2100mm - 学科・専攻・コース
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