snow shoveling

川邊 真生

担当教員によるコメント

「snow shoveling」と題されたベニヤ板8枚の大作は、川邊が故郷の青森で父親と雪かきをした思い出を作品にしたものだ。しかし、そこには穏やかなのどかな情景は見当たらない。雪を思わせる色彩や雰囲気はなく、再現された世界とはなっていない。むしろ再現を目的としない絵画、絵画としての自立を目論んでいる。激しいタッチとストロークで物語はかき消され、何かがうごめくような不思議な力強い画面が迫ってくる。巨大な画面とベニヤ板に直接描いた生々しさ、荒々しさが見る人を圧倒し威圧する。確かに雪かきは、のどかな情景とは言い難い厳しい自然との対決があり恐怖さえ存在する。自然体験からの感動のなせる技なのか、不可能性への挑戦なのか「snow shoveling」は鮮烈な息吹を放っている。

教授・木嶋 正吾