水を操る中空金属

河田 賢人

作者によるコメント

東新製作所との産学協同プロジェクトで金属3Dプリンターの可能性を探りました。注目したのは中空のかたちの造形が自由になったこと。同じく自由なイメージを持つ水との関係性がより多様になると考えました。現象を表す3つのプロトタイプと現象を応用した5つのプロダクトから、3D金属プリント技術がさらに発展した未来における金属の新しい姿を提案します。

担当教員によるコメント

この作品は東進製作所との産学共同研究「Numerical Design」から生まれた。この研究では金属を材料とした3Dプリンターを駆使し、複雑で自由な造形を「数値制御」で作ることがテーマであった。その中から彼は視覚的に驚きを与える素材と形状との関係に着目、トライ&エラーを繰り返し、金属3Dプリンターで無ければ実現できない幾つかのプロトタイプを生み出した。薄肉中空構造を利用した「水に浮く金属」や毛細管現象によって液体を吸い上げる多孔質を応用した「加湿する金属」などである。どれも見れば見るほど不思議で楽しい提案で、その中でも表面張力を応用して水流を美しく編み込むように様に中空にして吐出させる水栓「Glassfall」は秀逸な作品である。デジタルデザインと3Dプリンターならではの表現であり、今後のプロダクトデザインの在り方を示唆した作品である。

教授・田中 秀樹