チェーン

担当教員によるコメント

道端で見掛けるカーブミラーをモチーフに制作された作品である。「 日常的に良く目にする、何気ない景色を構成する形態をモチーフに、無機物である形態に暴力的に、生々しく肉感的な質感を付与することによって、私が普段感じている、人間の本質的なリアリテイを間接的に表現することが出来ると考えています。」作者の言葉が全てを言い表している。「人と人との関係性は複雑で、時には歪んで偏執的な繫がりが生まれることもある。」感覚だけに頼らず思索を重ねることが手木さんのイメージをより明確にしている。手木さんの制作は様々な素材を駆使し確かなイメージを定着させていく作業である。試行錯誤を繰り返し妥協を許さず求めるものに近づこうとしている姿は、一人の作家である。

教授・村井 進吾