川端 豊子

担当教員によるコメント

バロックの巨匠ベルニーニは彫刻に初めて複数の理想的な視点を与え、建築、彫刻、演劇などを統合芸術として纏め上げたが、なかでも信仰とエロティシズムを混淆させた彫像に見られる聖衣の「襞」に対する異常なまでのこだわりが、「光と闇」つまり表層と隠蔽されたエロスとの関係をいっそう際立たせる。川端の彫像も椅子の形状を成す事で実際に座る事も可能であるが、むしろその空洞がもたらす空虚と僅かに覗く四足が不穏な内部の蠢きとともに、象徴的に用いられた大理石の「白」がメタファーとなって不気味な「闇」を演出している。

教授・水上 嘉久