首を長くして待とうかな

櫻井 隆平

担当教員によるコメント

この作品の魅力はキリンの長い首の帽子とマーチィングバンドのユニフォームを着た少女の姿の対比の意外性にある。キリンの首は作品の半分の大きさを占めており、そのリアルな写実表現が帽子というよりは生のキリンの存在がそこに現れているように感じさせる効果を生んでいる。さらに紫色のトーンの着彩と赤い目の表現が加わる事により、ユニフォーム姿の少女の表情が驚いているように見えて、作品全体の不思議なイメージを増幅させる要因となっている。技法的には樟の一木造で細部までしっかりと彫り上げ、丁寧に着彩する事により高い造形の密度を感じさせる作品となっている。

教授・川越 悟