生きている暮らし 住宅の、それから

中山 梓

作者によるコメント

住宅のかたちは、その時代の人々の生活を象徴しています。これからまた、仕事の在り方が変化し、東京で寄せあって積み重なって暮らす生活から解放される未来を想定します。そんな未来に問う、生きている暮らし。

担当教員によるコメント

民家の定義は本来「生業と共にある生活の場」である。IT化などで近い将来在宅での仕事がさらに増加したときを想定し、豊かな自然環境の中での仕事と共にある生活の場の提案であり、現代版民家のプロトタイプとも言える。大都市に住む必然性が減ることから、毎日美しい風景を楽しめる土地を設定している。仕事のスタイルが今までと全く変わっても、環境との接し方については伝統的な習慣や行事を大切にし、季節の変化を実感できるような空間を設えている。自然環境とともにある素朴な暮らしが現代的な利便性とうまく共存できることに配慮し細部までよく考えられている。いくつもの案を考えてきた積み重ねによる密度の濃いプロセスが空気感やスケール感など、極めて完成度の高いデザインにつながった。

教授・岸本 章