腐快感

濱崎 藍

作者によるコメント

腐りゆく快感、と書いてふかいかんと読みます。私はナルシストですが、前向きで素敵な自分好きなのではなく、自分を辛い状況に追い込み、そして苦しくなっている自分が好きというひねくれたナルシストなのです。そんなネガティブナルシストがもう少しマシな生き方をしようと決意するまでの物語を、点描画で描きました。

担当教員によるコメント

自身の経験を赤裸々に打ち明ける勇気が濱崎藍の卒業制作の核となっている。内側から沸き上がる想いを題材としたノンフィクションのデザインと言えよう。濃厚な素晴らしいクオリティーである。媒体は本を選択した。過激とも思える言葉が多々飛び交うも、文章は頗る名文だ。それをページごとに様々な組版によるタイポグラフィーで綴り、感情の推移に合わせた抑揚あるレイアウトは我々を飽きさせない。圧巻は何と言っても肉体をリアルに再現した点描表現である。執拗に描き出されたその身体達は体温を感じるほどに艶かしい。媚を売らず、真実に徹した創造姿勢が、明快、且つ強烈なエンターテイメントを誕生させた。

教授・澤田 泰廣