クリームとイチゴ, 感覚

平野 弘美

担当教員によるコメント

四年初めの講評会で床いっぱいにドローイングを広げて平野さんは立っていた。「スイーツ」のイメージを描写することなく、その甘いエキスを絞り出すかのように何枚も繰り返し描いていた。それは一種のトレーニングの様で、なんと彼女は四年の間「甘いお菓子」と関わり続け、丁寧に引いたマス目に甘い感覚を埋め込んでいくというルールも編み出した。そんな鉱脈を掘り探る日々に突如現れた『クリームとイチゴ』、もはや「甘さ」は彼女の企みを離れ、とてもストイックな図形となって目に前に現れた。タイトルからそれが甘い成分で出来ていると知るや否や、キャンバスの地が白い生クリームとなって目の前の私を覆ってくる。ドローイングをそのまま大きく描いたって、いつも上手く行くわけじゃない!とチクリと言いたくなるくらいだが、実は彼女の度胸に驚いている。

教授・村瀬 恭子

  • 作品名
    クリームとイチゴ, 感覚
  • 作家名
    平野 弘美
  • 作品情報
    『クリームとイチゴ』
    素材・技法:油彩、キャンバス
    サイズ:H218.2×W291cm

    『感覚』
    素材・技法:アクリル絵具、キャンバス
    サイズ:H130×W162cm
  • 学科・専攻・コース